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『革命』が細々と小説を載せたり、ライトノベルを書いていて思ったことを綴ります。
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予告通り、本日アップとなりました!
本編はやっと第二章突入!
そう言えばこれって短編だったΣ( ̄□ ̄)
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今回はちょっと時間の都合で短めですが、やっと話が進展し始めました。
 一歩外に出れば潮の香りが海岸のすぐ側だということを意識させた。志緒理の家は山を切り崩したような斜面に建っていてそこから海岸がよく見える。
 俺は足早に海岸に向かおうとしたが、思いの外急な斜面がそれを制止した。ゆっくりと滑らないように慎重に降りる。普段からここに住んでいる人からしたらおかしな男だと思われるだろうが、この斜面はそんなことを考えるだけの余裕を与えてはくれなかった。
 やっとのことで斜面を下りきると、俺が背を預けていたコンクリートの塀が見えてくる。今度は足早に塀に駆け寄り階段を下りる。
 昨日と何ら変わらないはずの海だが、今日の海はうって変わって神々しさを感じさせた。
「元気になったみたいだね」
 海に見とれていた俺の死角から不意に声を掛けられた。
 心臓が大きく鼓動する。
 何も言えないまま俺はゆっくりと声の方に目を向けた。
 ショートカットでややボーイッシュな少女が立っていた。服装までラフな格好で後ろ姿だけなら少年に間違えられてもおかしくはない。しかし正面から見れば愛嬌のある瞳に整ったスタイルが少女であることを確定づける。
 それは祐理とは似ても似つかない少女だった。
「え……と、昨日は助けてもらって……」
「いいって。気にしないで。でも服装は考えた方が良いと思うよ」
 気さくに俺の言葉を遮る。服装に関してはあまり人のことを言えた服装には見えないが、意外と防寒性に優れた素材なのかも知れない。しかしこれで確定した。昨日見た祐理の姿は夢か幻覚だったようだ。
「それにしても……ははっ。全然似てないのに見間違えるなんて……」
 俺は視線を向けないままそう呟いた。
「そうそう、志緒理にもお礼言っておいでよ」
「は?」
 思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
「え? 君が志緒理さんじゃないのか?」
 きょとんとした顔で俺を見つめるその少女は、直ぐに吹き出すように笑い出した。全く訳が分からない。
「あはは、違う違う。私のことを志緒理と間違えてたんだ? 昨日君を助けたのが志緒理。私はあずさ。君を運ぶ手伝いをしただけだよ」
「じゃ、じゃあ志緒理さんは?」
 笑いすぎて出た涙を拭いながらあずさは近くの岩場の指さした。岩場の上には髪の長い少女が座りながらこちらを眺めていた。祐理によく似ている気がした。髪型だけではなく、彼女が醸し出す雰囲気は昨日見た祐理と酷似していた。
二人の視線に気付いた少女は立ち上がり手を振った。
「か、彼女が志緒理さん?」
「危ない!」
 目を離した一瞬の出来事だった。岩場の湿り気が少女のバランスを崩した。俺は無意識のうちに走り出していた。
岩場までそれ程距離はない。固い地面を選んで岩場にたどり着くと、飛ぶように一気に岩場を駆け上がる。彼女の体は海に向かって水平に倒れかかっていた。
「祐理!」
 彼女を追うように海に向かって飛び出すと、伸ばす手を強く掴み回り込むように抱きかかえた。そして突き飛ばすように岩場に向かって押し出した。岩場の上で彼女のバランスがなんとか保たれたのを確認して俺の体は落下した。
「良かった……今度は祐理を救えた」
 岩場から落ち行く俺の姿を見下ろしながら彼女は必死に手を伸ばしていた。それは俺に届くような距離ではなかった。
だが俺は何一つ後悔していなかった。
きっと俺は今までずっと後悔していたんだろう。何も出来ずにただ祐理を失ったことに。祐理が飛行機事故に遭う前に何か出来たんじゃないか。もしかしたら祐理を救えたんじゃないか。ずっと心に引っかかっていた。でも今度は間に合った。今度は救うことが出来た。例えそれが祐理じゃなかったとしても。

やっとことで第一章突入!
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序章の続きです。
だいたい更新は週二回~三回にしようかと考え中。
今回は前回より少しだけ長めです。
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