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『革命』が細々と小説を載せたり、ライトノベルを書いていて思ったことを綴ります。
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みなさま!た~~~~いへんお待たせしました。
仕事の都合でネットが使えない所にいまして--A

やっと復活ということで、前回の続きをアップだ!
今回は起承転結の承を全部上げようか……と思っていたけど
ここを見ている友人から携帯じゃ長すぎると読むのが大変!
と意見を頂いたので、前回より少し短めの所で切っています。
というか書き出してみると承は10P程度行ってしまいそうで(笑

というわけで第二章をお楽しみ下さい。
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 暖かな夕日が完全に姿を消し、空には目を奪われるほどの星空が広がっている。そして大きな満月が神々しく輝き、その光が天使を象った石像を照らしている。大きな翼を背中に携え、どこか物悲しげに天を仰ぐその天使の下に亜季奈たちは身を隠していた。
「ひーちゃん。そっちは誰も居ない?」
 瑞夏に言われて注意深く石像の裏側に回り込んだ聖は、息を殺しながら辺りを確認する。石像の裏側には林が広がっている。月明かりが照らしているとはいえ、その奥まで見渡すことは出来ない。そもそも明かりもなく林の中に人が居るはずがないのだから、あくまでそれは用心の意味でしかない。
 亜季奈も聖に釣られて林の方を覗き込む。それはまるで吸い込まれてしまいそうなほど深く暗い。背後から心臓を鷲掴みにされるような不気味な感覚を覚え、亜季奈は恐ろしくなって瑞夏の腕に抱きついた。
「お、お姉様。ここで何をするんですか?」
 亜季奈は消灯時間以降に宿舎から出たことはほとんどない。あるとすれば聖誕祭などの特別な催し物が執り行われる時だけだ。それだけに瑞夏たちが何をしようとしているかは見当も付かなかった。
「そっか、アキはまだここには入ったことなかったのね」
 そう言って瑞夏は天使の石像を見上げる。
「ここ? ここって……」
 辺りに建物はない。相変わらず瑞夏の視線は天使の石像に向けられている。
「瑞夏様。誰も居ませんから今のうちに……」
 聖が石像の裏側から顔を覗かせた。瑞夏は聖に向かって頷くと石像を見据えたまま一歩後退する。それに習って亜季奈も後ろに下がる。瑞夏はゆっくりと手を石像に向かってかざした。わずかに彼女のからだが輝きを放っているように見えた。そしてその動きに呼応するかのように石像の翼がゆっくり持ち上がり、天使が翼を広げた形に変化していく。翼が全て開ききった所で、石像の正面に人一人通れる程度の入り口が姿を現した。それはまるで地の底へ続いているかのように真っ暗だった。
「さあ、この中よ」
 瑞夏はさっさとその穴の中に入ってしまう。亜季奈は恐る恐る穴の中を覗き込んでみるが、全く何も見えない。何一つも光源がないのだ。本来ならば月明かりが中を照らしても良さそうなものだが、不思議なことにその様子もない。
 ゆっくりと一歩足を踏み入れる。固い石畳のような感覚が靴を通して伝わってくる。見えはしないがしっかりとした作りになっていることが亜季奈の心をほんの少し安心させた。そのままもう一歩中に進む。そると一気に視界が開けた。驚いて後ろを振り返るが、そこには入り口のようなものはなく、石で出来た壁が立ちはだかっていた。辺りを見回すが、思った以上に広い。とても石像の中とは思えない。亜季奈がエノクの園に住み始めてからしばらく経つが、こんな施設があったとは知りもしなかった。
「アキ。こっちよ」
 亜季奈の後方から声がした。その声の方に視線を向けると、瑞夏が床に描かれた魔法陣の中心に立って手を振っていた。その魔法陣は二重円の四隅に三角形を描き足したような形をしている。だがその円の中心部や二重円の間には何も描かれてはいなく、魔法陣としては不完全なものだった。
 階段を下りて瑞夏の元へと歩を進める。いつの間にか後ろから聖も着いてきていた。
「ここなら誰にも聞かれないわね。ごめんね。なかなか話さなくて。ここって、一応先生の許可がいるのよね」
 つまり許可など貰っていないと言うことだろう。その理由を察した亜季奈はなるほどと頷いた。
「瑞夏様はこれから日本の大阪という都市に行くつもりなの……」
「もちろん。実際に行くのは不可能ね。とっくになくなった都市だもの……でもそれを体験することなら出来るの」
 相変わらず亜季奈は要点をうまくつかめていなかった。
「そうね。シミュレートするって言えばわかりやすいかな。シミュレートって言っても実際に行ったのと変わらないくらいリアルで、触感も味覚も風の匂いさえも感じるわ。コミュニティーは全てを記憶しているの。だからどの時代、どの場所だろうと再現出来る。もっとも満月の力を借りるっている条件は付くけどね」
 先生が授業で話していた中にコミュニティーの話が出てきたような気がするが、亜季奈の記憶にはそれほど鮮明には残っていなかった。
「論より証拠。早速始めましょうか! アキは魔法陣の真ん中に立っていて。ひーちゃんも準備は良い?」
 聖は頷くと魔法陣の四隅にある三角形のうちの一つに入り込んだ。その対角に当たる位置には瑞夏が立っている。二人は胸の前で手を組むと、小さく何かを呟きだした。それは歌のような、呪文のような、あるいは言語であるかのような不思議な響きを奏でている。同時に彼女たちの体は微かに緑色に輝き始める。その光はだんだんと指先に集まり輝きを増す。目を瞑り輝く指先を真っ直ぐに下ろすと、その光は分かれ二つのラインとなりその間に文字を紡ぐ。そしてそれは意志を持ったかのように動きだしそれぞれの頭上に魔法陣を描きだす。その魔法陣はこの建物の床に描かれている魔法陣によく似ているが、それとは違い完成されたものだった。
「「大いなる四辺形の御名と文字において、我汝を召喚す……」」
 二人が同時にそう言い放つ。頭上の魔法陣が強い輝きを放ち、天に向かって目がくらむほどの強い光が一直線に放たれた。
「ヴァール! 私に力を貸して!」
「ケイ……あなたの力をほんの少しわけて……」
 魔法陣から発せられていた光が、それぞれの頭上で一点に収束する。そして一瞬で弾け飛び、周囲を強く照らした。
 思わず目を瞑った亜季奈が再び目を開けると、二人の頭上には真っ白な二枚の翼を携えた天使が翼を大きく広げて浮かんでいた。瑞夏の天使と聖の天使は一見それ程違いはないように見えるが、瑞夏の天使の左耳には金色のピアスが輝いているのに対し、聖の天使は銀色のピアスをしている。このピアスが天使の階級に関係していることは亜季奈も知っていた。
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